塗膜内異物の非破壊分析
 〜顕微レーザーラマン分光分析〜


 はじめに

 塗装不良のひとつとして仕上げ面に異物が混入し、突起状に観察される「ブツ」があります。この原因としては塗料に起因する塗ブツの他に、ほこり・繊維くず等が考えられます。
 異物は塗膜内部に存在するため通常は破壊調査が行われますが、光が透過する塗膜に対しては共焦点を用いたラマン分光分析による非破壊調査が可能です。


 調査方法

 (1) 供試材:異物混入多層塗装膜
 (2) 使用装置:ラマン分光分析装置
 (3) 測定条件:共焦点

【測定条件】
 レーザー波長 :532nm
 対物レンズ  ;100倍
 アパーチャー径:40µm

 結果

 ラマンスペクトルの結果から異物はポリエチレンテレフタレート(PET)と推定されました。
 PETはポリステル繊維として広く使用されており、衣類等の繊維がなんらかの原因で付着したものと考えられます。