X線回折による転位密度測定


 材料中の転位密度測定の意味

 金属材料の強化方法には、(1) 加工硬化、(2) 析出強化、(3) 固溶強化、(4) 結晶粒の微細化があり、 いずれも転位の移動を抑制することで強くしています。
 転位とは金属材料を変形させた際、金属内部に発生する欠陥であり、これが結晶中を移動することで変形が進みます。
 上記、強化方法毎の転位の移動を阻害する要因を下記に示します。
 (1) 転位、数の増加
 (2) 微細析出物
 (3) 大きさの異なる元素が混じることによって生じるひずみ
 (4) 結晶粒界の割合の増加
 従って、材料中の転位密度を測定することは材料強度の解析に役立ちます。

 転位密度測定の概要

  X線回折法(XRD)は,結晶材料を評価する方法のひとつです。
 X線回折のプロファイルは転位などの格子欠陥の影響を受けるため、これを利用して転位密度の測定が可能です。1),2),3)
 しかしながら、弊社では、鉄鋼材料に特化した九大研究室考案の計算手法(DF/mWH法)を採用することで転位密度を再現よく評価することが可能です。4)

 測定原理概要

 XRDは回折ピーク位置が原子間距離を表しているため、転位(原子位置のずれ)により原子間距離にばらつきが生じると、 XRD測定にて得られるピーク幅が広くなります。
 上記より、XRD測定から得られるピーク幅を理論計算することで転位密度を求めることが出来ます。

測定原理概要

 測定事例

 SUS316Lに種々の公称歪みを加え、転位密度を測定した結果、公称歪みとの相関が確認できました。
測定事例

 参考文献
 1) Williamson, G. K. and Hall, W. H., Acta metall., 1, 22–31 (1953)
 2) Warren, B. E., Progr. Metal Phys., 8, 147–202 (1959)
 3) Ungár, T. and Borbély, A., Appl. Phys. Lett., 69, 3173–3175 (1996)
 4) Takaki, S.,Masumura, T. and Tsuchiyama, T.,ISIJ Inter., 59, 567–572