エンコーダ、リニアゲージ用 高温対応点光源LEDを開発
業界初 動作保証温度上限105℃を達成、10月発売

大同特殊鋼株式会社(社長:石黒 武)は、ACサーボモータ用光学式エンコーダやリニアゲージ等に利用される高温対応のLEDを開発しました。点光源LED※1としては業界で初めて動作保証温度上限105℃を実現しました。赤外光LED MED8P73(発光窓径50μm)、 MED8P74(同150μm)を、10月から販売を開始します。また、LEDの横漏れ光を防止する遮光型LEDも順次販売します。

1. 背景

産業用ロボットなどのACサーボモータには、回転検出用途で光学式エンコーダが使用されています。サーボモータには高負荷、高密度実装が求められており、また多様な使用環境の要求から、同製品に使用される部材の高温対応が必要とされています。しかし、光学式エンコーダに搭載される点光源LEDでは、高温動作での光出力低下、あるいは短寿命の課題が存在していました。また、リニアゲージ等においても同様に高温動作が必要とされています。

2. 開発内容

当社はLEDの光を生成する活性層に発光効率の高い多重量子井戸※2構造を採用することで、従来から用いられている単層の活性層構造のLEDと比較し、長時間通電における光出力の低下を改善してきました。
今回、さらに多重量子井戸層の成膜条件に高温時の光出力低下と層内の発熱を抑制できる最適点があることを見出し、この最適点に成膜条件管理をコントロールすることで動作保証温度上限を従来の80℃から点光源LEDでは業界で初めて105℃に引き上げ、使用上充分な電流での高温動作を可能としました。

3. 効果

本製品により、エンコーダやACサーボモータ、およびそれらを搭載する産業用ロボット、リニアゲージを搭載した工作機器など産業機器の熱設計の自由度を高めます。

4. その他

本製品を「センサエキスポジャパン2016(9月28〜30日、東京ビッグサイト)」に出展します。

※1 点光源LED 照明、表示用途で用いられる一般的なLEDは、チップの全面から光が放射されるのに対し、点光源LEDは微小な発光窓からのみ光が放射される。
※2 多重量子井戸 厚さナノメートルオーダーの薄膜を組成の違う層で挟み、量子効果を発現させて光の発光・受光の効率を高めた薄膜構造をいう。(1ナノメートルは10億分の1メートル、100万分の1ミリメートル)
MED8P73

MED8P74