リアクトル用金属磁性粉末「新型プリウス」に採用

大同特殊鋼株式会社(社長:小澤 正俊)は、ハイブリッド自動車のバッテリーの電圧を上げる部品(リアクトル)に使用される金属磁性粉末を開発し、トヨタ自動車株式会社殿から5月18日に発売された3代目「新型プリウス」に採用されました。ハイブリッドシステムの駆動に関する技術としては昇圧機構があり、バッテリーの電圧を上げることで、車両を駆動するモーターのトルクを高めています。リアクトルは、その昇圧機構の部品です。今回採用された金属磁性粉末は、高純度粉末製造技術および粉末形状制御技術の開発により部品性能向上と部品コスト低減の両立を実現しました。

1.背景

当社は、「非特殊鋼鋼材事業の育成・拡大」に取組んでおり、今回開発した金属磁性粉末もその一環であり、エコカーや電気電子分野での市場開拓をめざしています。今後、金属磁性粉末の拡販により粉末事業を拡大し、2014年に売上高250億円を計画しています。

2.リアクトルとは

リアクトルは、バッテリーの直流電圧を上げるために使用される部品です。鉄心にコイルを巻き、電流を流すことにより鉄心を磁化させて使用します。リアクトルの電気的性能としては、コイルに大電流を流した時に大きなエネルギーを蓄えられ、かつハイブリッド車の燃費向上のためにエネルギーの損失が少ないことが要求されます。

今回の「新型プリウス」のリアクトルには、当社で開発した金属磁性粉末を金型に充填し、プレス成形により製造した鉄心が使用されています。

3.本金属磁性粉末の特長

特長 内容
部品性能*1と部品コストを両立
*1…リアクトルとしての電気的性能
部品性能 部品コスト
本粉末 両立
本粉末以外 × 両立困難
もしくは
×
高純度粉末製造技術および粉末形状制御技術の開発により部品性能向上と部品コストを両立する粉末を製造
低コストに貢献 最終形状に近い形での部品製造により材料使用量の削減が可能となり、低コスト化に貢献
省電力に寄与 粉末表面への絶縁皮膜処理技術により、鉄心でのエネルギー損失を低減。バッテリーの省電力化に寄与。

4.事業目標

2009年 2011年 2014年
粉末事業全体 50億円 120億円 250億円
金属磁性粉末 10億円 40億円 100億円

以 上

参考資料