汚泥転じて”花”となる
廃棄物処理再生装置 下水汚泥炭化システム

Interview
 
   
   

下水汚泥炭化システム模型
▲ 下水汚泥炭化システム模型
 そこに集まった人々の笑顔を見て、森野と甲はこみ上げて来る熱きモノをこらえながら、固く握手をかわした。
 地域で発生する廃棄物を、資源としてその地域に還元させる。そんな理想的なリサイクル装置が、果たして愛される再生資源を地域の人々に供給し得た時のことである。
 長野県佐久郡『川西広域処理場炭化炉施設』(以降=川西処理場)。この下水汚泥処理施設には、地域住民が連日好んで訪れる。この類の施設が地域の人々に愛される、という好例となった。
 本稿では、この川西処理施設をはじめ、今や多方面より引き合いをいただくに至る、新時代の地域循環型リサイクル装置、『下水汚泥炭化システム』の開発経緯を追う。
 

受注残ゼロをバネに

 「1件も受注残がない!?」
 組織改正を終えたばかりの環境設備第二部に緊張が走った。環境設備第二部は環境設備第一部の灰溶融設備(DAP)以外の環境設備を扱うということで設立されたのであるが、平成8年当時、新任部長の南がどう資料を見渡しても、水処理関連設備の受注残(受注済みの製作進行物件)が見当たらない。南はそのことに驚きを隠せずにいた。
 そもそも大同の環境設備事業は、自身の工場の廃棄物処理・再資源化技術に端を発している。大同では廃棄物を限りなく無害化する技術をすでに数十年前に確立しており、それらの技術を社会に還元するという見地もあって、環境設備事業に力を注いできた。
 排水処理をはじめとする水処理関連設備もこの一環であり、すでに多方面で実績を重ね、大きな成果を上げてきた。ところが、平成8年頃はそうした水処理設備の需要が一段落した、ちょうど谷間の時期だったのだ。
 こうした事態は健全な事業継続という見地でも、環境関連技術の社会還元という見地でも好ましいはずはない。南の大号令のもと、新たな分野での環境設備の開発に取り組むプロジェクトがスタートすることになる。体制としては、少人数ではあったが、足元を固める設計グループと将来製品を生み出す開発グループを結成した。更に、開発テーマとして、まず下水関連・自動車トンネル用高性能集塵機など各種分野に新製品探索を開始した。

 

オボロ気な将来展望

 森野には、環境設備部 開発室室長の任が与えられた。つまり開発プロジェクトのリーダーである。それまでも多くの環境設備開発に携わっていた森野には、オボロ気ながらある将来展望があった。まず、大同の得意分野(下水関連/トンネル集塵関連)の将来動向を見据え新規製品の探索を行った。その時の製品が現在の炭化炉であり、トンネル用電気集塵機である。炭化炉については、
 「国内の下水道普及率の向上は目覚ましい。となると、近い将来必ず下水処理場で発生する副産物の処理が問題になるはずだ。この分野に、大同が世界に誇る熱処理炉技術を応用した設備を開発すれば、面白くなるのではないか。」
 森野はこの考えに基づきさらに情報収集を推し進めると、果たして下水処理設備で発生(設備内に沈殿)する汚泥がにわかに問題化しつつあることを掴む。森野は考えた。
 「下水汚泥を熱処理技術で再資源化するシステムを開発すれば、きっと商売になる。」そんな思いを抱きはじめていたある日、森野は自分と同様なアイディアを研究していた株式会社TYK(以下TYK)と高砂工業株式会社(以下高砂)という会社に出会う。そして彼らの技術研究のデータを見るうち、森野は密かに確信する。
 「システム化すれば、必ず下水汚泥処理の世界を席捲できる。」
 
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