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素材の可能性を追求し、
持続可能な社会の実現に
貢献します。

社会・環境との共生

当社は、2018年度から2020年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画(大同特殊鋼グループ2020中期経営計画)を策定し、その折り返し点を迎えたところです。
経営基本方針として掲げた『Beyond the Special「機能性に優れた素材で、お客様の技術革新を支える」』には、素材の持つ可能性と特別を超える価値を提供することで、客様の技術革新・進化をしっかりと支えていくという決意を込めています。“ものづくり力”をさらに磨き、持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指してまいります。

『ポートフォリオ改革』『事業基盤の強化』『事業の再構築』、この3つは2020中期経営計画の達成へ向けて定めた行動方針です。

当社の主要需要先である自動車業界は、100年に一度と言われる大転換期を迎えています。EV化により、自動車1台当たりに使用される特殊鋼の比率が減少していくことは確実です。
ただ一方では、自動車の電動化・自動化、AIやIoTなどのデジタル技術革命を支える半導体の高度化には高機能素材が必要となります。耐熱性、耐食性、高清浄度や磁気特性など、機能性に優れた素材への期待・要求が高まる中において、市場の変化を確実に捉え、お客様のニーズを満たした高機能素材を安定的に供給していくための投資を積極的に実行しています。知多工場では製造ラインの物流改善や連続鋳造設備の機能向上、星崎工場では熱処理や加工設備の増設、粉末工場では新しい製造ラインが稼働を開始しました。また、次世代の高効率モータに資する磁石の研究を始めるとともに、研究者の育成も視野に入れながら、産学共同で磁石の用途開発に特化した研究所の新設も検討を進めています。
これらの機能材料・磁性材料事業は将来的に成長が期待できる分野であり、この事業分野を大きく伸ばしていくことにより『ポートフォリオ改革』を進め、利益の最大化を目指します。

『事業基盤の強化』については、既存設備の能率向上や歩留まり改善、戦略投資効果の早期発現などで徹底したコストダウンを行い、再生産可能な適正マージンを確保することで実現してまいります。電極やその他の諸資材価格、物流価格の高騰などコスト面での厳しい事業環境が続いていますが、お客様には丁寧にご説明し、引き続きご理解を得られるよう努めてまいります。

『事業の再構築』では、不採算事業の見極めを行い、採算がとれる事業への再構築を進めていきます。競争力強化および経営資源の効率化の点からは、川崎テクノセンター(神奈川県川崎市)の土地・建物の一部を売却し生産集約を図りました。ターボハウジング部門については、2018年1月に新工場を立ち上げましたが、コスト競争力をよく考慮した上で、事業の方向性を見直していきます。型鍛造事業については、まだまだ採算性の改善が必要です。国内工場では歩留まりや良品率の向上を図り、海外では国内と同様にものづくり力を備えた体制を構築し、需要の伸びにしっかりと対応していきます。その他、事業の選択と集中を進めることにより経営効率を上げ、中長期的に資本効率を高めてまいります。

気候変動に対応する国際的な枠組みである「パリ協定」は、歴史的な合意を経て、発効から3年が経過しようとしています。国連総会で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」は近年、ビジネスの場だけでなく日常でもよく耳にするようになりました。世界は知恵を出し合い、持続可能な社会を実現するための行動を加速させています。産業界においても、SDGs達成へ向けての取り組みが重要度を増しており、長期的な視点での社会的課題の解決が期待されています。これらの潮流の中で当社が持続的成長を遂げためには、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの側面を重視した経営を推し進め、本業を通じた社会的課題解決のための新たな価値創造挑戦し続けることが必要です。

環境の面においては、省エネルギー目標(2030年度までにエネルギー使用を10%以上削減(2013年度BAU*比))を定め、各設備の省エネルギー化や能率向上などの環境投資、エネルギー効率に重点をおいた設備の開発、世界で強まる環境規制に対応するお客様の技術革新を支える製品など、環境への負担を限りなく低減するための“ものづくり”を継続していきます。社会の面については、企業の根幹を支える「人」への取り組みを進めます。多様な人材を活かし、一人ひとりの能力が最大限発揮できる社内風土の醸成や職場環境の整備、制度の充実をより一層推し進めるため、ダイバーシティ推進プロジェクトを人事部配下の組織として再発進させました。働き方改革による生産性向上と人材育成の施策と併せ、従業員が心身共に健康で、生き生きと働き続けられる企業を目指します。

当社は2018年に続き2年連続で「健康経営優良法人」に認定されました。2016年に「健康経営宣言」を行って以来、「安全と健康は幸せの原点」としてさまざまな施策に取り組んでまいりましたが、「健康」と対を成す「安全」については更に、「安全をすべてに優先する」という認識のもと、安全意識の向上に邁進してまいります。

そして企業統治については、ガバナンス体制のより一層の強化と、経営の透明性・健全性の更なる向上のため、2019年6月より社外取締役を1名増員し3名体制としました。また、2019年度からは連結範囲を拡大し75社が連結子会社となりましたが、このうちの約半分を海外子会社が占めることから、グローバルなグループ経営のもとでのガバナンス体制構築に努めてまいります。

* BAU:Business as Usualの略

当社は今年、創業から104年目を迎えましたが、次の新たな100年を切り拓くための挑戦をこれからも続けてまいります。そして、持続可能な社会の実現に向けて、特殊鋼という素材を通じて特別を超える価値を創造し、人と社会の未来を支え続けます。