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ごみ処理施設の基幹的設備機能回復工事を受注
減容化と再資源化を実現する灰溶融技術で環境負荷低減と資源循環に貢献

大同特殊鋼株式会社(本社:愛知県名古屋市、社長:清水哲也)は、タクマ・大同特殊鋼特定建設工事共同企業体(代表企業:株式会社タクマ)の構成企業として、このほど、大阪府吹田市から、同市のごみ処理施設「吹田市資源循環エネルギーセンター」(以下「本施設」)の基幹的設備機能回復工事(以下「本工事」)を受注しました。
 本施設は稼働から15年以上が経過しており、老朽化が進行しています。同市では、ライフサイクルコスト低減などの観点から、施設の更新ではなく、延命化を目的とする本工事の実施を決定しました。本工事では、施設の稼働を継続しながら、通常の定期点検では実施が困難な作業を順次実施することで、工事終了から起算して14年の延命化を図ります。
 当社は本工事の中で、アーク式灰溶融設備に関する工事を担当・施工します。

本工事の概要

発注者 吹田市
受注者 タクマ・大同特殊鋼特定建設工事共同企業体
工事名 吹田市資源循環エネルギーセンター基幹的設備機能回復工事
工事場所 吹田市千里万博公園4番1号
施設概要 ごみ焼却施設
・処理能力:480t/日(240t/日×2炉) ・処理方式:ストーカ式
灰溶融設備
・処理能力:49t/日 ・処理方式:アーク式灰溶融炉
主な工事内容 ・燃焼設備(耐火物・ストーカ)の更新
・燃焼ガス冷却設備の更新 など
契約金額 135.6億円(税抜)
契約工期 2025年10月~2031年3月(5年6か月)
図:アーク式灰溶融炉概念図

アーク式灰溶融炉とは

当社が保有する製鋼用アーク炉技術をベースに開発した、都市ごみ焼却灰および飛灰※1を溶融する設備です。高温アーク(アーク放電3000~5000℃)により焼却灰と飛灰を溶融し、減容化(減容率1/2~1/3)・無害化するとともに、路盤材やタイルブロックなどに再利用可能な細砂状の溶融スラグ※2を生成します。また、焼却灰に含まれる金属分は、溶融メタル※3に移行し炉外に排出されることで、建築資材等に再利用される他、貴金属類の回収も可能です。減容効果による最終処分場への負荷軽減に加え、溶融スラグおよび溶融メタルの有効活用により、環境負荷低減と資源循環に貢献する技術です。

原理

炉内に設置された3本の黒鉛電極の先端と、炉内に形成された溶融スラグおよび溶融メタルとの間でアーク放電を発生させます。炉内に投入された焼却灰は、高温アークの輻射熱と伝熱により直ちに溶融状態(溶融スラグ、溶融メタル)となります。溶融物は出滓口からオーバーフローし、連続的に水砕設備へ流下・急冷され、再利用可能な細砂状の溶融スラグおよび粒状の溶融メタルとして炉外に排出されます。

アーク式灰溶融炉の特長

  • 高温アークを熱源として焼却灰および飛灰を溶融することで、減容化および無害化が可能。
  • ごみ発電※4によって得られた電力を利用することで、エネルギーの有効利用が可能。
  • 高温アークにより焼却灰および飛灰を急速かつ均一に溶融できるため、高品質な溶融スラグが得られる。
  • 細砂状の溶融スラグは、路盤材やタイルブロックなどの材料として利用も可能。
  • 溶融メタルは、建築資材等に再利用される他、メタルに含まれる貴金属類の回収も可能。

用語説明

※1 飛灰 焼却炉内でごみを燃焼した際に、燃焼ガスとともに飛散し、集じん器などで捕集される微細な灰
※2 溶融スラグ 焼却灰および飛灰を、1300℃を超える炉内で溶融し、水噴霧で急冷することで生成される、ガラス質で細砂状の物質
※3 溶融メタル 焼却灰および飛灰を、1300℃を超える炉内で溶融し、水噴霧で急冷することで生成される、鉄分をベースに金、銀、銅などの成分で構成される物質。主に出滓口から排出される粒状のものと、炉底に蓄積されるベースメタルに分類される
※4 ごみ発電 ごみ焼却時に発生する熱を利用して蒸気を作り、その蒸気でタービンを回す発電方法

以上