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材料調達の選択肢を広げる
サマリウム−鉄−窒素(SmFeN)磁石材料のラインアップを拡充
〜ネオジム系ボンド磁石を補完する用途提案を強化〜

大同特殊鋼株式会社(社長:清水 哲也)は、従来から展開している等方性※1サマリウム-鉄-窒素(SmFeN)磁粉※2およびコンパウンド※3製品群において、新製品をラインアップに追加するとともに、大型混練機を導入することで、製品バリエーションの拡充およびコンパウンドの供給体制を強化しました。
これらの取り組みにより、自動車、家電、FA、半導体分野など成長が見込まれる市場におけるSmFeN系磁石材料の採用を促進し、2030年には年間200トン規模の市場展開を目指します。

近年、電気自動車やFAなど電動化の加速を背景に、モーター類に使用される希土類磁石の需要が増加しています。磁石原料として広く利用されるネオジム(Nd)は、世界で年間十数万トン規模の需要がありますが、サプライチェーンが特定地域に依存していることから、需給バランスや地政学的要因による市況変動が課題となっています。
一方、ネオジム採掘の際に副次的に産出されるサマリウム(Sm)は、ネオジムとは異なる需要バランスと特性を持つ希土類であり、SmFeN系磁石材料は用途に応じた材料選択肢の一つとして位置づけられています。当社は、これまで培ってきた超急冷磁粉※4技術を基盤に、SmFeN系磁粉および樹脂コンパウンドの製品展開を進めてきました。等方性ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)ボンド磁石を補完する選択肢として、用途に応じた材料提案を行っています。
今回、従来の磁粉および PPS 樹脂※5コンパウンドに加え、PA 樹脂※6コンパウンドをラインアップに追加しました(図1)。また、2022年度に増強した技術開発研究所(名古屋市南区)の超急冷磁粉量産体制を基盤に、2025年12月には大型混練機を築地テクノセンター(名古屋市港区)に導入し、生産能力と供給安定性を強化しました(図2)。
これらの取り組みにより、サマリウムを活用した磁石材料の適用領域拡大に取り組んでいきます。

図1. 大同特殊鋼グループの等方性ボンド磁石ラインアップ

図2. 築地テクノセンターに導入したものと同型の大型混練機

等方性SmFeN磁石の特長

安定した価値の創出:Nd系磁石とは異なる希土類組成を活用することで、原料の市場環境に応じた材料選択肢の多様化に貢献します。
耐食性:SmFeNはNdFeBと比較して高い耐食性を有しており、湿度の高い環境でも安定した磁気特性を維持します。
耐水素性:水素環境下に適した材料であり、半導体製造装置や分析機器などで使用されるポンプ類での応用も期待できます。

用語説明

※1 等方性(磁石)、異方性(磁石) ・等方性磁石
磁化容易軸(磁化されやすい結晶方位)があらゆる方向に分布している磁石。異方性磁石に比べて磁気特性が低い。
・異方性磁石
磁化容易軸が特定方向に揃えられている磁石。等方性に比べて製造工程が複雑。
※2 磁粉 磁石になる性質を持った粉末状の材料。粒径や組成によって磁気特性が変わる。
※3 コンパウンド 複数の材料を混ぜ合わせて機能を持たせた配合材料。本件では、磁粉を樹脂に分散させたもの。
※4 超急冷磁粉 溶融した磁性合金を一瞬で冷却(超急冷)し製造する高性能な磁粉。
※5 PPS樹脂 ポリフェニレンサルファイド。耐熱性・耐薬品性・寸法安定性に優れたプラスチック。
※6 PA樹脂 ナイロン。強度・耐摩耗性・耐薬品性に優れたプラスチック。

参考