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社長年頭挨拶

新年明けましておめでとうございます。

 年末年始をふるさとや旅先などで過ごし、心身ともにリフレッシュされたことと思います。こうしてみなさんと新年を迎えられることに、改めて喜びを感じます。
 昨年は、国内では高市氏が憲政史上初の女性首相となりました。日本維新の会が連立入りしましたが、閣外協力にとどまるため、今後の国政運営はやや不安定になり得ます。世界的には米国の関税政策の動向、中国の国内経済減速や輸出管理強化など、不確実性の高止まりが憂慮されます。一方、昨年の事業環境は、中国やアセアンにおける日系自動車メーカーのシェア急減、半導体・産業機械の内外需悪化や中国メーカー台頭で厳しい一年でしたが、今年は工作機械・産業機械や航空関連の需要が緩やかに回復に向かい、明るい兆しも見えそうです。

 年頭にあたり、みなさんへのお願いとともに、私の所信の一端をお伝えします。

安全と健康

 まず、安全面について、昨年は起きてはならない重大災害が発生し、おひとりの尊い命が失われたのは痛恨の極みです。重大災害を含め災害内容を見ると、作業前ミーティングやKYを行う前に作業を開始して被災するケースが多く発生しており、特に、ベテラン作業者がルール違反し、通常では考えられない状態で災害が発生しています。
 今年は、①職場ルールを守る②『作業区分毎に、作業内容、KY、安全ポイントの声掛け』を全員で行い、もう一度、「安全に強い職場」を築いていきましょう。

 健康面では、例年に比べ早くから猛威を振るっているインフルエンザ等の感染症予防を徹底してください。
 日頃からの体力維持・向上のため、ウォーキングイベントを昨年から全社展開しました。今年も、職場全員で参加し、笑顔あふれる安全で健康な職場づくりに努めましょう。

再設計後の2026中期経営計画と2030年の“ありたい姿”

 当社は、経営環境の急激な変化を受け、「2026中期経営計画」を昨年10月末に再設計しました。要点は次のとおりです。

①経営目標の見直し
 2026年度の営業利益を400億円以上、自己資本利益率(ROE)を7%以上とします。
②株主還元の強化
 配当性向30%以上を維持しつつ、DOE(1株あたりの株主資本に対する配当の割合)の下限を新設して2.5%とする他、自己株式の取得も検討します。
③経営方針と3つの行動方針の実行継続
 2030年の“ありたい姿”「高機能素材の価値を極め、顧客ベネフィットを創造し、サステナブル社会の実現に貢献する」に向けた経営方針と3つの行動方針は変更ありません。

【経営目標の見直し・株主還元の強化】

項目 2026年度
当初計画
2026年度
見直し計画
目指すべき
経営指標
営業利益 600億円以上 400億円以上 600億円以上
自己資本利益率(ROE) 9%以上 7%以上 9%以上
D/Eレシオ※1 0.5目安 0.5目安
投資額(3年累計決裁額) 1,500億円 1,400億円
株主還元 配当性向30%以上 配当性向30%以上
下限DOE2.5%
株価純資産倍率(PBR) 1.0以上

【経営方針】-トランジション・マネジメント-
 厳しい事業環境が続く中でも、新たなビジネス・ドメイン(顧客×提供価値×手段)で持続的な利益成長を実現します。そのためには、変革を「他人事」とせず、みなさん一人ひとりが高い志をもって自ら成長し、「自分事」として挑戦しつづけること、誠実に行動し、チームの力を活かして協力してやり遂げることが必要不可欠です。

【行動方針】

一.事業ポートフォリオの変革

 航空宇宙、半導体、CASE※2、クリーンエネルギー、医療、産業ロボット、船舶などの成長市場製品の売上高比率は拡大し、戦略的な大型設備の投資決裁は概ね完了しました。また、既存製品については、製品の進化、シェアアップ、新市場への攻勢、低採算事業の撤退などが確実に進みつつあります。
 営業面では、米国関税政策や中国国内経済の減速などの外部環境を踏まえて、その他の地域も含めた拡販戦略を推進してください。

二.経営基盤の強靭化

 事業ポートフォリオの変革に向けて、みなさん一人ひとりが“大同DX”の実践や業務仕分けにより、業務効率向上や工数削減に継続的に取り組むとともに、新たな付加価値を創出する業務への変換を進めてください。
 設備投資では、渋川工場の高合金溶解能力増強と星崎・知多第2工場の高機能素材製造能力拡充に向けた高合金プロセス改革プロジェクトをはじめ、新たにグループ会社となる予定の日本高周波鋼業株式会社も含めた抜本的な生産アロケーション(再配分)により、ポートフォリオに即した効率的で強靭な生産プロセスの整備に着実に取り組んでください。

三.ESG経営の高度化

 ESG課題解決の価値を顕在化させ、企業価値向上・利益成長に結びつけます。環境面では、2050年のカーボンニュートラル化、「大同グリーンスチール」のブランド化、生物多様性、サステナビリティ貢献製品の拡大を推進します。社会面では、従業員のみなさんのエンゲージメント向上と人権尊重活動の更なる強化に取り組みます。ガバナンス面では、次に述べるリスクマネジメントとコンプライアンスの活動を継続します。

リスクマネジメントとコンプライアンス

 我々が対処せねばならないリスクは、人的資本の確保、ハラスメント等の人権侵害、自然災害、サイバーテロや情報漏洩などの情報セキュリティ、品質マネジメント、環境問題など、多岐にわたります。事業環境の変化について、足元だけではなく将来を見据えながら、潜在的なリスクにも注視して対処していく必要があります。
 こうしたことを背景に、2023年8月に 「企業倫理憲章」、2024年4月に「行動基準」を刷新し、これまで「行動基準ガイドブック」の読み合わせやグループワークを各職場で実施して浸透活動を行ってきました。この「ガイドブック」はみなさんが仕事をしていく上で、守るべき倫理的なルールや、規程や細則に無い判断を求められる際、どのように判断すべきかを示す指針になります。改めて、その重要性を認識し、日々の業務に結び付けてください。
 大同特殊鋼グループのリスクマネジメント、コンプライアンスの活動の主体者は、私たち一人ひとりです。大同特殊鋼グループがこれからも社会的責任を果たし、人や社会を支え続ける存在となれるよう、全員の目線を合わせ、協力して取り組みましょう。

 当社は2024年から「すごい未来、特殊鋼と行こう!」をキャッチコピーに、アーティストのKREVAさんを起用した企業CMを展開しています。昨年も継続して企業認知度の向上に取り組み、航空・宇宙篇、EV篇、先進医療篇、半導体篇を制作しました。そして、昨年末からは新たに「クリーンエネルギー篇」を公開しています。
 当社は、これからもお客様との共創により「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けていく」特殊鋼メーカーとして、さまざまな素材を生み出し、社会に提供していきます。今年は当社が創業して110周年の年です。2026中期経営計画の集大成に向かって全社一丸で取り組み、「すごい未来」を共につくっていきましょう。

 ご健康で ご安全に!

代表取締役社長執行役員 清水 哲也

※1 D/Eレシオ:自己資本に占める有利子負債の割合であり、財務の安全性を示す指標
※2 CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング &サービス)、Electric(電動化)