特殊鋼は、その用途、含まれる成分により細かく分類されます。
主な特殊鋼
特殊鋼は、構造用鋼、工具鋼、その他の特殊用途鋼の3つに大分類され、それぞれの中でも細かく種類が分かれています。
- 構造用鋼
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土木、建築、橋梁、船舶、車輛、機械、機器その他各種構造物の構成部品として、主に強さを保持する目的で使用される鋼。
- 工具鋼
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切削工具、金属やプラスチックを成形する金型に用いられる鋼。
- ステンレス鋼
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表面に不動態被膜という、非常に薄い保護被膜を形成する働きを持ち、錆びに強く、美しい状態を維持する鋼。主に鉄に11%以上のクロムを含有する合金鋼。
- 耐熱鋼
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高温または高温高圧の環境下で使用され、適当な強度と耐酸化性を有する各種合金鋼。
- 超合金
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高温で高強度を示す耐熱材料。鋼の耐食性また耐熱性を改善するために合金元素を多量に添加した合金。スーパーアロイとも呼ばれる。
- ばね鋼
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自動車や車両用の板ばねや時計用ぜんまい等、各種ばねに用いられる鋼。
- 軸受鋼
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ベアリング(軸受)のレース、ボール、ローラー等の部分に用いられる鋼。
- 快削鋼
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被削性(削られやすさ)を高めた鋼。切削加工の効率化、部品の仕上精度が求められる際に使用される。
特殊鋼の熱処理
鋼が本来持っている特性を最大限に引き出すために、鋼を適当な温度に加熱し、適当な速度で冷却する処理のことを“熱処理”と呼び、目的に応じていろいろな方法があります。
- 焼なまし
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適当な温度(700〜900℃)に加熱し、炉中でゆっくり冷却すること。結晶・組織を調整し、また、内部歪(ひず)みを除去し、軟化させる。
- 焼ならし
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適当な温度(850〜950℃)に加熱し、大気中で放冷すること。組織を微細化する。
- 焼入れ
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適当な温度(850〜950℃)に加熱し、油または水で急冷すること。硬くして強度を増加させる。
- 焼戻し
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焼入れに引き続き、適当な温度(例えば強靭鋼では500〜750℃)に再加熱後、冷却すること。焼入れ時の不安定な組織を安定化させ、かつ靭性を増加させる。
- 浸炭
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鋼の表面に炭素を浸透させ部品の表面に炭素濃度の高い層を形成してから、急速冷却(焼入れ)することで耐摩耗性、耐疲労性、硬さを向上させる。
- 窒化
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鋼の表面に窒素を吸収させることで窒化化合物を生成し、表面層の硬さを向上させる。